LICHT

NOTES

音もなく冬がはじまった。いつものように森は淡く沈む。

ひかりとかげのように

家ではiPhoneを切っている。レコードをかけたり、庭を掃除したり、積んである本の中から一冊を手に取ったり。外は雨が降っていて、バルコニーに落ちる雨粒が小さく弾ける。一人がけのソファに身を委ね、いくつもの記憶がふわりと絡み合い、内側から世界が少しずつ広がっていく。

不平不満を言うときでも、なぜか口角が少し上がってしまう癖のある友人がいる。本人は深刻なつもりなのかもしれないけれど、こちらも自然と和やかに耳を傾けることになる。ちょっとした生活のノイズを、重さや湿り気もなく軽い冗談みたいに。